2006年10月09日
http://www.asahi.com/culture/fashion/TKY200610090127.html
07年春夏ミラノ・コレクションが9月下旬に開かれた。“トレンド発信地”の名誉をかけ、過去の流行やクラシックなスタイルを現代風な独自の形に表現し直そうとする試みが広がっている。全体としては60年代風の細身で未来的な印象のシルエットが台頭し始めた。◇ 意地を見せたのは、ミラノの隆盛を支えてきた2大ブランドだった。
フリーダ・ジャンニーニが手がけて3季目のグッチは、これまでのクールさから一転、60年代調のキュートな服をそろえた。紫やピンクのトリミングに、エスニックな六角形のししゅう、大きく波打つフリル。可愛らしくて実用的なローヒールの靴も、グッチとしては異例だ。服の身頃はタイトでボトム丈は短く、この先のトレンドの先鞭(せんべん)をつけた感がある。
プラダのワンピースやスカートも、お尻が見えそうなくらい短い。アフリカ風プリントや頭に巻いたターバンで、やはりエスニックな味付け。コンパクトな服に大きなリュックサックを背負ったスタイルが、自立して生き抜く女性像を思わせた。
各ブランドで目立ったディテールは、落とした肩のラインやベル型の袖、服のボリュームを調節する太ベルト、ぎらぎら光るシルバー。客席の中田英寿に報道陣が沸き立ったバーバリー・プローサムは、これらの流行をたっぷり盛り込んだ。トレンチコートやチェック柄をベースにしつつ、軽快に仕上げた。
プリントにモダンアートを採り入れるブランドも多かった。スポーツマックスはモンドリアン風の幾何学模様。ヴェルサーチの抽象柄は50年代の北欧デザインから。劇場「ヴェルサーチ・テアトロ」のこけら落としとなったショーには、歌手のプリンスらも顔を見せた。マルニは米国のアーティストのイラストを使ったTシャツやゴムのベルトでスポーティーにまとめた。
現実の市場を意識した着やすい服があふれる中、新しいスタイルを提案しようと気を吐いたのがドルチェ&ガッバーナ。日本のアニメのヒロインから着想したというワンピースやコルセットは、胸とお尻が突き出ている。モデルの体にはガバガバなのが、彼らなりのユーモアか。
一方、アルベルタ・フェレッティの会場は大きな温室のよう。自然光に映える淡い色使いや風をはらんで揺れる素材が美しく、着る人をきれいに見せる服本来の役割を思い起こさせた。
ジョルジオ・アルマーニはいつものエレガントな雰囲気にリラックス感が加わった。ゆったりとした形だが光沢のあるパンツが、ユニセックスな印象だった。
だが全体としては、既視感や焼き直しといった印象が否めなかった。ミラノ在住のジャーナリスト矢島みゆきさんは「イタリア人はクリエーティブだという自負が強すぎ、世の中の変化を取り込めていない。パリやNYのように異質なものも受け入れ、共存していく方法を考えるべきだ」。
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